暑熱下運動時の呼吸循環応答
暑熱下運動時には、体温上昇に伴い心拍数が上昇し、熱放散反応である皮膚血管拡張・発汗反応が大きくなります。これらに加えて、体温上昇時には換気応答が亢進し、これにより二酸化炭素が体外へ過剰に排泄され、血中の二酸化炭素分圧が低下し、結果的に脳血流量が低下します。我々は、この換気・脳血流応答が起こるメカニズムや生理学的意義を解明するため、長年にわたって実験を行っています。
体温調節反応の末梢メカニズム
体温上昇時には熱放散反応である皮膚血管拡張と発汗が起こり、これにより体内の熱が体外へ放散されることで、過度な体温上昇が防がれます。したがって、この熱放散反応が十分に起こらなければ、体温が過度に上昇し熱中症に繋がります。我々は、皮内マイクロダイアリシスを用いて、熱放散反応が末梢でどのように起こるのか、さらにはトレーニングや暑熱順化による熱放散機能向上は、どのようなメカニズムで起こるのか、それぞれ解明を進めています。
寒冷暴露時の生理応答
水中競技やウィンタースポーツは寒冷環境下で行われる場合があります。寒冷環境下では皮膚温や深部体温が低下し、耐寒反応である皮膚血管収縮やふるえ反応が生じます。我々の研究室では、主に冷水浸水により体温を低下させた時の皮膚血管収縮やふるえ反応を含む生理反応について研究を行っています。
運動時の循環調節
ヒトが運動やスポーツを行う時には、循環調節がうまく機能することが必須になります。我々の研究室では近年、運動中に息止めを行う場合の循環調節に関する研究を進めており、これはダイビングや水中運動時の循環調節メカニズムを解明する目的で行っています。実験では、心拍数や血圧の他、活動筋血流量や脳血流速度、心拍出量を測定しています。
低圧低酸素下の呼吸代謝応答
気圧を制御できる環境制御室 (高度8000m相当まで可能)を用い、高所 (低圧低酸素) 環境における呼吸の仕事量やその特性を評価しています。
近年では、運動前の呼吸筋の仕事量増加や、様々な種類のガス吸入 (二酸化炭素、ヘリウム) が高強度運動時の呼吸代謝応答に及ぼす影響も検討しています。
アスリートのパフォーマンス
アスリートが最高のパフォーマンスを発揮するための、ウォーミングアップ戦略、サプリメント摂取 (カフェイン、ビートルート等)、暑熱対策に関する研究を行っています。また、アスリートがより効果的にトレーニングを行う方策に関する研究も行っています。